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会社登記

役員変更手続きの放置「選任懈怠(せんにんけたい)」

投稿日:2023.4.1 最終更新日:2023.10.30

司法書士 権藤 健裕

行方不明の取締役を辞めさせたい

株式会社の代表取締役より役員変更登記の依頼をいただきました。
以前お会いしたことはありましたが、登記の依頼は初めてでした。
この会社には長期間連絡が取れなくなってしまった取締役がおられました。この取締役の辞任の登記を希望されていました。
この取締役に辞任の意思があり、辞任届を提出していただくことが出来るのであれば辞任登記が可能です。
行方不明である以上それは無理であることを説明しました。
このような場合でも臨時株主総会を開き、普通決議により取締役を解任することは可能です。
辞任も解任も取締役ではなくなると言う意味では同じですが、
辞任=自分の意思で辞める   解任=辞めさせられる
という大きな違いがあります。

会社法339条
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。


行方不明なので解任する為の正当な理由がありますし、必要な株主の賛成も得られそうなので解任することは可能であるように思いました。

商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

取締役の任期

任期とは役職に就いている期間のことです。
定款で特に任期を定めていない株式会社であれば
取締役は「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」
監査役は「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」
です。
上記の場合、今年の定時株主総会で選任された取締役は再来年の定時株主総会が終わる時までが任期です。
同一人物が引き続き取締役となる場合でも任期が満了したら改めて選任し直す必要があります。
法務省:役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です
任期は定款で定めることにより10年まで伸長することが出来ます。

初めて商業登記の依頼をいただく会社には定款を確認させていただきます。
任期は登記されていないので、定款で確認する必要があります。

任期が切れている取締役

取締役の任期の定めを確認したところ、行方不明の取締役を含め全ての取締役の任期が既に満了していたことが判明しました。
このような取締役を権利義務取締役と呼びます。任期が満了していても次の取締役が決まるまで退任することが出来ません。
今回は、臨時株主総会を開催し、新しい取締役を選任していただきました。
新取締役が選任され、就任を承諾することにより旧取締役は任期満了により退任することになります。
私は、解任される予定だった取締役を含む全取締役の退任登記と、新たに選任された取締役の就任の登記を申請しました。
退任=任期満了で辞める
この会社は取締役の任期が切れているのに次の取締役の選任手続きをせずに放置していました。(選任懈怠といいます)
このような場合、代表者個人に会社法違反として100万円以下の過料(罰金)が科される場合があります。(会社法976条)

商業登記の必要性

不動産を買う時、ほぼ100%の方が購入した不動産の所有者の名義変更を買ったその日に申請されます。一方で、商業登記は後回しにされたり、忘れられることも多いようです。
会社の登記が正しくなければ、登記されている内容を信用して取引をすることが出来ません。実際は商号変更や本店移転、役員の変更が行われていても登記の変更をしない会社が増えてしまうと商業登記への信頼が損なわれてしまいます。必要な登記を怠った場合に過料という罰則を設けることで登記を促しているのだと思います。
株式会社の代表取締役の住所が変わっているのに住所変更登記をしていない会社(有限会社は代表権を持たない取締役も変更登記が必要)は多いのではないでしょうか。


《クリックで画像拡大》

役員の任期が明らかに切れている会社は結構よく見かけます。
会社設立から一度も役員変更登記をされていない株式会社は特に、任期について確認いただくことをお勧めします。

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