投稿日:2023.4.14 最終更新日:2024.4.25
司法書士 権藤 健裕
不動産の所有者をを亡くなった親から子供へ変更する、代表的な相続手続きのケースを紹介いたします。
相続登記のご相談は司法書士へ
数年前に住宅ローンを完済された時、銀行の抵当権抹消のご依頼をいただいたことがある女性からお問い合わせをいただきました。
お母様が亡くなり、お母様名義の土地と建物を自分名義に変更したい。不動産の相続登記は出来ますかというお尋ねでした。抵当権抹消を依頼した司法書士事務所で相続登記が出来るかわからなかったそうです。相続登記は出来ませんという司法書士はいないと思いますが、相続登記といえば司法書士という認識が浸透していないということを痛感しました。こんなときは司法書士
相続人はこの女性と弟さん。この女性が不動産を相続することを兄弟間の話し合いで決めておられました。相続財産は(ほぼ)不動産のみだったのですが、遺産分割の話し合いは全く揉めなかったそうです。弟さんはこの後の手続にもとても協力的な方でした。
不動産の相続登記を自分で挑戦
相続登記を自分ですることももちろん可能です。この女性は未経験の手続きでもまずは自分でやってみるそうです。役所で必要なお母様の死亡に関連する手続きは窓口の方に教えてもらいながらご自分で完了することが出来ました。この調子で不動産の名義変更も自分で出来るのではないかと思い法務局に相談に行かれたそうです。資料をもらったり、説明を受けたりしたが言葉が難しく、何のことだかさっぱり分かりませんでした。結局のところ自力での相続登記は断念されました。そこで、以前抵当権抹消登記手続きを依頼したことがある私のことを思い出していただいたそうです。相続登記を自分で出来たという方にたまにお会いしますが、素直に凄いと思います。
相続登記手続きの流れ
後日ご自宅にお邪魔して、それまでに収集された戸籍等の書類を拝見させていただきました。固定資産税の納付書を保管されていたので登録免許税を計算し、相続登記に関する大体の金額をご提示しました。
亡くなった方の戸籍謄本は相続人を確定する為、生まれてから死亡するまで記載されているもの全てが必要です。相続人は現在の戸籍抄本で大丈夫です。
不足している書類があったので、戸籍収集の続きから私が担当することにしました。
福岡市内で取得出来るものであれば、事務所から近い区役所の窓口に行くのですが、それ以外の地域は郵送で請求することが殆どです。
最近は普通郵便が配達されるまでの日数が以前よりかかるようになりました。役所へ戸籍等の書類を郵送請求する場合、戻ってくるまで1週間以上かかります。被相続人が本籍地を頻繁に変更されている場合、戸籍謄本が揃うまで数カ月かかることもあります。
(令和6年3月より戸籍謄本等の広域交付が開始されたのでその制度を利用した方が効率的です)
戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
必要な戸籍等の書類が揃った時点で、正確な金額をご提示してご了承いただきました。
相続人間の話し合い結果を基に私が遺産分割協議書を作成し、相続人のお二人に署名捺印(実印)をいただきます。
不動産以外の財産(預金や自動車等)についても相続方法が決定されていれば記載しています。
最初に電話をいただいてから、法務局への申請まで約1か月ほどかかりました。
今回は相続人間の話し合いだけで相続財産の分け方を決定出来るケースです。相続人の中に一人でも未成年者や意思能力が無い方がいる場合は別の手続が必要となります。法定相続情報証明も作成しました。
相続登記の費用
今回のように子供が相続する場合の登記手続き(戸籍収集・遺産分割協議書作成・法定相続情報作成・法務局への申請)の報酬は8万8千円(税込)です。
登録免許税や郵便、戸籍謄本取得費用等は実費をいただきます。
集めた戸籍謄本等は登記識別情報と一緒にレターパックで郵送いたします。
後日、預金解約・年金等の手続きは法定相続情報証明を使用いただき、ご自分で完結出来たそうです。